江戸っ子センチメンタル(続・CoCo壱くん)

「こ」という字をキーボードで叩くだけで予測変換「CoCo壱番屋」が出てくるようになった私のパソコン。

カレー屋事変の後、CoCo壱くんは何度も「会いたいよbaby」と花輪くんみたいなメッセージを送ってきたので断っていたのだが、折れない心でマメに挑んできたので誘いに乗ってみた。

というのも「カレー屋の一件は幻だったのでは?」と思い始めたのだ。人は忘れる生き物である。時間が経てば感じた違和感も薄れてしまう。なにより、やさしい彼を少しイイなと思っていたし。

久々の再会は上野にて。動物園に行きたいと言ったら「デートで動物園に行くのは初めてだ。新鮮だ。やっぱりよしこは最高だ」と返ってきた。何かにつけてamazingらしい。私はただ動物園とか水族館とか牧場とかが好きなだけなんだが。

はいはいサンキュー、と上野動物園に無事入場。CoCo壱くんは子どもの頃、動物が好きだったらしくいろんな動物について英語で説明してくれたうえに、効率よく回るルートもサクッと導きだしてくれて、外国で観光案内されているみたいだった。

動物園を後にする頃には少し日が傾き、ヒト科のもぐもぐタイムがやってきたので浅草に移動した。私が浅草が好きだから。大衆居酒屋で串カツを食べながら時々キャベツでもかじりたい。おしゃれなルーフトップでなくていい。道にせり出した雑な長テーブルがいい。コレを書きながら猛烈に串カツが食べたくなってきた。

(出典:大阪・新世界の串かつキャラクターくしたんのブログ

そんな感じの店を数軒ハシゴしながら、今までしなかったパーソナルな話をした。彼がもともとプロボクサーだったこと。ケガで引退せざるおえなかったこと。日本車が好きで車の輸出入のビジネスをしたくて日本に来たこと、など。人に歴史アリ、ってのは本当で人の話を聞くのは実に興味深い。ストーリー自体も十人十色だし、その人の哲学を聞けるのもありがたい。本を読むのとは感じる重さが違う。「人のモチベーションは人につながっていく」とは人の言葉だが、まさにこれなのだ。

お酒も深まり夜も更けたところ浅草寺を散歩。夜の浅草寺、暗い空と赤い建物の色のコントラストが最高。昼よりも人が少なく、ほろ酔いで夜風に当たりながら気分よし。

さあ帰るか!よしこ、明日からもがんばれるわ!CoCo壱くん、おつかれ!とさわやかに駅に向かおうとしたのだが渋るカレー野郎。よく見ると目がトロンとしていて、当時長かった私の髪の毛を触りながら「帰りたくない」と申している。

私はそんな色っぽいシチュエーションをスルりとかわして、一緒に駅へ向かうように促した。CoCo壱くんと私の間に一瞬流れたように見えた、ふんわりとした媚薬みたいな空気感をバッサリ斬りつけるように。彼は残念そうだったけれど、その日別れるまでずっと優しいままだった。

帰り道でひとり思う。

少しでもいいなと思っている人と、いい感じの場面でなぜ踏み込まない。私は一体何を怖がっているんだろう。何も知らない少女でもあるまいし。言ってしまうと、つい友だち感を出してしまい、ムードをぶち壊す失敗が絶えない。親友にも「それが素なら今すぐ意識改革が必要だ!」とユリコ小池のようなことを言われて図星過ぎてびっくりした。もともと持っている色気ポテンシャルは高めだと信じているのに。え?違う?

それにしても、CoCo壱くんの今夜の誘いをかわしたら、もう連絡こないかもな……。私のことをよくご存知の方は分かるであろう。初対面の人でも気兼ねなく話せるものの、こと恋愛となると自分から誘うなんてことはめったにできない小心者。ちょっと意識しちゃうと相当な勇気を振り絞らないと連絡できないため、むこうからアクションがなくなったら実質タダならず、実質試合終了なのだ。口下手でシャイなのに余計なことはよくしゃべる、という血統書ものの恋愛ベタ。そんな私は思うんです。恋愛上手な人っているのかしら。

とにもかくにも恋のチャンスってやつを逃がしちまったな!てやんでい!バーロー!

改めて思う。自分はアホだ。数分前まで浸っていたセンチメンタルジャーニーから華麗に抜け出し、愉快な脳内江戸っ子キャラが炸裂している。しかも止まらない。た、楽しい。

まだ50歳ってがんばっている伊代みたいに、自分も図太く生きようと決意したところでスマホが鳴った。

「次はいつ空いてる?今度はもう少し2人きりになれる時間を多くとりたいな」

CoCo壱くんからであった。

〜 つづく 〜

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